こんにちは。 兵庫県丹波市の野球専門店「タグチスポーツ」のどーたです。
先日、ニュースを見ていて個人的にすごく嬉しいトピックがありました。 第一生命が毎年発表している「大人になったらなりたいもの」ランキングの最新版で、小学生男子の第2位に「野球選手」がランクインしたそうです。
なんと去年から順位を上げ、長らく上位だったYouTuberを抜いての2位。大谷翔平選手をはじめとするMLBでの日本人選手の活躍が、子供たちに大きな夢を与えているんだなと実感します。
ただ、野球専門店で毎日お客様とお話ししている私としては、単純に「野球人気が爆発している!」と手放しでは喜べない、リアルな現状も感じています。
というのも、「いざ野球を本格的に始めてみよう」と思った時、他のスポーツに比べて揃える道具が多くお金がかかったり、保護者の負担(お茶当番や送迎など)が大きかったりと、現実問題として「続けるためのハードルが高い」という側面があるからです。
公園でキャッチボールをするのは楽しいけれど、チームに入るとなるとちょっと・・・と踏みとどまってしまうご家庭も少なくありません。
少し綺麗事になってしまうかもしれませんが、子供たちの「野球選手になりたい」という夢を、現実の壁で夢のまま終わらせたくないなと強く思います。
MLBの華やかさの裏側にある、地道な努力の尊さ。そして、「自分の道具(グラブ)と向き合い、時間をかけて育てていくことの楽しさ」。 そんな野球の根底にある奥深い魅力を、私たち専門店も小学生に伝わるような形で発信し、野球界に恩返ししていかなければと、このランキングを見て改めて気が引き締まりました。
さて、「自分の道具と向き合い、育てていく」というお話。 本日はまさに、その覚悟を持って上のステージを目指す選手からお預かりした、こだわりのオーダーグラブについてのお話です。

「久保田スラッガーでM00のオーダーがしたいです!高校野球日本一の守備職人になるために、このグラブを自分の手の一部のように育てていきたいです。型付けもお願いします!

「こんにちは!当店のナビゲーター『やばタン』です!どーた店長、M00ってどんなグラブなの?」
今回のオーダーグラブは、久保田スラッガーの「M00」というモデルです。カラーはDPオレンジで、ウェブはバスケットウェブを採用しています。

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スラッガー好きの登竜門「M00」の賛否両論
この「M00」という品番。実は私たちスラッガー専門店や、スラッガー好きのユーザー様の間では「登竜門」と言われるような、非常に奥深いグラブです。

そして、このグラブには常に「賛否両論」がつきまといます。 どういうことかと言うと、ユーザーの間で真っ二つに意見が分かれるのです。
- 否定派:「使い方が全く分からない。どこで捕ればいいの?」
- 肯定派:「どうしてこのグラブの圧倒的な良さが分からないんだ!」

このギャップが激しいため、M00というグラブは「売り方が分かっているお店では爆発的に売れるけれど、そうでないお店では全く売りにくい」という、少し特殊な立ち位置にあります。
マーケティングに頼らない「誠実なグラブ」
実は当店に「型直し(使いにくくなったグラブの修正)」で持ち込まれることが多い品番として、この「M00」や「24MS」「D1」などが挙げられます。

これらがなぜ型直しに持ち込まれやすいのか? それは、これらのグラブが「手の動きに極めて忠実(シビア)だから」です。
「自分の手の動きをこうグラブに伝えたい」「こういう繊細なプレーがしたい」という、選手自身の高いレベルの要望に対して、ピタッと寄り添ってくれる非常に“誠実なグラブ”なのです。
なぜスラッガーのグラブには「シワ」が入るのか?
ここで、誠実なグラブに関してお客様から本当によくいただくご質問があります。
「どうしてスラッガーのグラブは、他メーカーに比べて捕球面にシワができやすいんですか?」
SNSなどを見ていると、「捕球面にシワが入るのがすごく嫌だ」「ピンピンに張った綺麗なグラブがいい」という声をよく耳にします。 今の時代、パッと手にはめて「あ、シワ一つなくて綺麗!すぐ捕れそう!」と思わせるような、マーケティング的に売りやすい”グラブはたくさんあります。

しかし、私は声を大にして言いたいです。 「グラブを自分の手の一部にするためには、シワは絶対に必要不可欠なもの」なのです。
スラッガーの型付けについてはコチラをご確認くださいませ。

手のひらに「手相」があるのと同じ理由
皆さんの「手」のひらを見てください。手相(シワ)がたくさんありますよね? それは、手が複雑に動き、その人特有の「動きのクセ」を記憶しているからです。自分の手の一部になるはずのグラブに、シワが入らないほうがおかしいと思いませんか?

「マーケティングで売れるピンピンのグラブ」と「自分の手に育っていく感覚」。 実はこの2つは、なかなか共存できないシビアな要素です。スラッガーは明確にそこに線引きをし、「見た目の綺麗さ」ではなく「手の動きへの忠実さ」を選びました。
上を目指す選手に知ってほしい「戦うための証」
プロの厳しい世界になればなるほど、「シワが入って嫌だ」なんて言っていられません。 それよりも、「いかに自分の言う通りにグラブが動いてくれるか」が全てです。その究極の操作性を求めた結果、スラッガーに行き着くプロ選手が多いのです。

グラブに入るシワは劣化ではありません。「戦うためのグラブである以上、必然的に刻まれる証」です。
全員にこのマニアックな考え方を分かってほしいとは思いません。世の中で売れているモデルが絶対に正しいわけでもありません。
しかし、「もっと上を目指したい」「日本一の守備職人になりたい」と願う本気のプレイヤーには、少なからず存在している「誠実なメーカーの哲学」を知ってほしいと強く願っています。
共に歩む相棒をじっくり育てる
平裏に刻まれた「甲子園」「日本一の守備職人」という強い覚悟。 今回のお客様は、まさにこの「グラブを育てる」というマインドを持った素晴らしい選手でした。

そのため型付けも、変にフニャフニャにはせず、お客様のシビアな手の動きがダイレクトに伝わるように、しっかりとした「土台」を作ることに留めました。
上のステージに到達する頃には、このM00はたくさんの“手相”を刻み、間違いなく“手の一部”になっているはずです。

このM00と一緒に、最高の景色を見に行ってください!全力で応援しています!

やばいグローブ屋さん 


